【体験談】年越しリゾートバイト!ひなびた旅館で仲居

お正月は何をしたらいいのか分からないし、実家暮らしの私はそもそも帰省することもないし、毎日父と兄と顔を合わすのが憂鬱で実家から脱出することにした。あと一人暮らしの費用を少しでも貯めたかった。

実際に何をしたかというと、12/29~1/5まで温泉街で住み込みバイト。いわゆるリゾートバイト。
1/6からは普段の事務のお仕事。めちゃくちゃ眠い。ゆらゆらしちゃったよ。
 
リゾートバイトは大学生のときに一度やったことがあって、そのときは草津のホテルで仲居をした。
温泉好きな私にとっては楽しく働くことができた。料理長のまかないはおいしかったし、毎日温泉に入ることができるし、個室の寮で一人気分を味わえた。
もちろん辛いこともあったけれど(社長がクソでお前が担当したお客様が口コミでひどいことを書いているぞと呼び出しされたけれど、口コミの内容は部屋がぼろかったみたいなことで、仲居が悪かったとは書いていない。そもそも私が担当したお客様か分からないし、入って2日目のバイトに言うことか?)、まあまあいい思い出として残っていた。
 
 
山で住み込みしていたので下界に下りてきて、下界はなんてすばらしいんだろうってほっとしている。すぐ近くにコンビニがたくさんある。買い物だって不自由しないショッピングモールもある。私の名前を呼んで笑ってくれる友達がいる。みんなと「今年もよろしく」と言い合える喜び。バレーができるのもすごく嬉しい。
 
人間はやっかいな生き物で、比較できないと幸せを感じられないのだなとつくづく思う。
もし私が住み込みバイトをしなかったら、今過ごしている生活を当たり前のものとしか思わなかったと思う。
今は何をしたって楽しい。周りの人からの愛情を感じられるようになった。
親もそうだし、友達もなんてありがたい存在なんだろうなって思う。
 
「人は一人では生きていけない」って言葉を今までなんだか綺麗ごとだなあって感じていたんだけれど、なんだか身をもって知ることができたなあ。
自身を取り巻く環境は大きいと思った。
住み込みバイトしていたときは私はただの労働者で、自分で全てなんとかするしかない。
でも日常生活に戻ってくれば、優しくしてくれる両親がいて、住む場所も困らないし、仕事もなあなあの環境で馬車馬のように働かされることもない。バレーの友達に会えば、笑いかけてくれてお喋りもしてくれる。あ、ありがてえ、、、。
 
住み込みバイトのときは大げさかもしれないけれど、天涯孤独の人はこういう心境なのかと思った。誰も私のことなんて大切ではない。名前すら呼んでもらえない、「あの子」呼ばわり。朝から晩まで働くだけの存在。なんだか死んでいるのと大差なかった。今は生き返っています。
 
私を私だと認識してくれる人がいないと私になれない。
それが「人は一人では生きていけない」の意味だと私は今回の経験を通じて身をもって理解した。
まわりの人ってものすごく大事だ。もしかして一番大事なものなんじゃないかな。
バレーだって6人いないとできないし、楽しくバレーするには好きな人達とバレーできなきゃ楽しくないし、働くにしても虐げられるような環境では働くことがただの苦役になってしまう。
 
あと家に帰ってびっくりしたのが、親を見て、この人たちは何で私に無条件で優しくしてくれるんだろうなって思ったことだった。
お母さんは住み込みバイト終了日に迎えに来てくれたし、一緒に温泉に入ってくれて美味しいものを一緒に食べた。いつも外でご飯を食べるときは私が食べた分を支払おうとしたり、母の分もお金を出すよと言ったりしても一切受け取ってくれない。心苦しいなと思いながらも、ご馳走になる。その度、自分はご馳走してもらえるほどの良い存在でもないのにな、とちらりと胸の奥で思う。母にとって私はいつまでも子どもなのかもしれない。
 
家に帰って自分の部屋のこたつに入ってまったりしたら安堵して寝てしまった。
母が私を起こしてくれたんだけれど、私は母を旅館の女将さんだと勘違いして、てっきり夜からの仕事に遅れてしまったんだと思い、謝りながら急いで起きたら母は「もう終わったのよ」とちょっと寂しそうな顔をしていた。
私はそのとき、ようやくああ終わったんだなと実感できたように思う。
 
大量の洗い物と雑巾がけのせいで私の手はあかぎれだらけになってしまい、見かねた母が絆創膏をくれた。私以上に私のことを心配してくれる人がいるってすごいな、と感動した。
今まで当たり前のように享受していた愛情を私はまじまじとこわごわと受け取った。
今までだって決して当たり前なんかじゃなかったんだ。
それに気付かせてくれた今回の住み込みバイトには感謝したい。
逆を言えば感謝しないとやっていけないのだ。消化できないのだ。完結できない。
ひどい目に遭ったと女将さんやこんばばあを恨んでいては自分の中にしこりができたままで、後味が悪いままだ。
 
大変な思いをしたけれど、今の日常生活のありがたさを身をもって知ることができた。何よりも最後までやり遂げられたことが嬉しい。自分の力でお金を稼ぐことができた。
住み込みバイト辛かったし、ホームシックになったし、泣いたりしたけど、やり遂げられてよかった!
辛いときに、ラインで愚痴を聞いてくれた友達よ、ありがとう。お土産は買えなかった。すまん。
 
めちゃくちゃ大変だったんだけれど、経験してみて自分について分かったことが3つあるので、それをまとめていきたい。
まず1つ目、朝が早くても寝坊を1回もしなかった!私は常々朝が弱いと自分で思っていたんだけれど、一人で起きれた!日常生活ではいつも起きれないんだけれど、やればできるじゃん!自分!と嬉しかった。
 
2つ目は、私は体力やタフさがあるなと思った。朝から晩まで働いてヘロヘロだったけれど、精神的には苦ではなかった。こんばばあに罵倒されてしんどくても、心がぽっきり折れることはなかった。元気よく返事して、ハキハキ働いた。気が張っていたからだと今は思うんだけれど、いくらでも働けた。配膳して、皿洗いして、全部屋掃除してもまだまだ動けるなと思った。
仕事中は眠気も一切感じなかったし、布団に入ったら3秒で暗転した。電池が切れるように眠りに落ちて、目覚ましが鳴る前に起きれた。…もしかして私は動いている方が性に合っているんではないかと思った。
体重が減っていくのも嬉しかった。動いて働いている実感があるほうがいい。時間が過ぎるのを待つだけの事務より仕事を終わらせるためにしゃかりきに動いて、喜んでもらえるように接客して、チップをもらえる今回のバイトのほうが自分には向いていた。
 
最後に3つ目。自分の中で一番重要な発見なんだけれど、今まで避けてきた接客が苦ではないな、と気付いた。世の中、2タイプの人がいると思う。「仕事に生きがいを見出す人」と、「仕事以外(例えば趣味など)に生きがいを見出す人」だ。私は後者だと思って、仕事は楽そうなものを選んできた。
だけれど、仕事内容だけで言えば、バイトの体力系の仕事より楽そうだと思った事務のほうが辛い!!
事務の仕事で毎日パソコンとにらめっこして全然動けず座りっぱなしで、やってもやらなくても大差ない仕事をする毎日。いてもいなくても同じような自分。毎日憂鬱だった。
 
だけれど今回のバイトでお客様にサービスするのは楽しかった。ただひたすら、実直に働いた。
お客様に対しては手を抜こうとかめんどくさいなとかは一切考えなかった。嫌じゃなかった。
むしろ感謝されると嬉しかった。嬉しくてもっと頑張ろうと思った。
そうしたらひなびた旅館だったのにいろんなお客様から毎日チップをもらえた。びっくりした。
チップをもらう瞬間が一番やりがいを感じた。暴落する自分の価値を引き上げてくれた。ここにいていいんだ、と存在意義を感じることができた。
「好き」ではなく、「得意」な仕事を探してみようか、と思った。
仕事を探しても好きなことはバレーくらいしかないしなあと思って仕事は諦めていた節があったんだけれど、バレーが好きだからこそ得意なことがあるかもしれないな、とようやく初めて気付いた。仕事を転々として迷走としている私にみんな「好きなこと何?」って聞いてきて、勢いよく「バレー!」って答えると「それじゃあ仕事にならないね」とか「(失笑しながら)バレー以外だと何なの?」って聞いてくるんだけれど得意なことは自分にもあるんじゃないか?とはたと思った。そのときありがとう神様!儲けもんです!これで生きていける気がします!って本気で思った。
 
今回めっちゃ疲れたけれど、体力的には問題なく動けた。楽だと思っている事務仕事で毎日ゾンビになっているのにこれはどうしたことだろうかと思ったけれど、私はフィジカル派なんだな。
・事務仕事よりも肉体労働的な方が得意。
・全く喋らないでいるより、接客で喋るほうが楽しい。
 
よし、もう事務仕事はやめだ。次の仕事は動いて接客するわ。
 
あと今回のリゾートバイトの反省点や気付きをまとめる。リゾバを考えている人は参考にしてもらえると私の失敗が成仏できます。
・アットホームです!に惑わされるな!
→大抵ロクなことがない。アットホームは言い換えれば閉鎖的です。人間関係がどろりんちょです。
今回で言うと、一族経営の旅館でパートのくそばばが幅を利かせ、19歳の娘はロクに手伝わずいびり散らしていた。親ばかで社長と女将は何にも注意しないの。外部から人を雇うくらいだったら甘ったれの娘を働かせろ!
 
・リゾートバイトが成功するかは下調べに懸かっている
仲居の仕事をする場合はきちんとしたホテルや旅館を選んだ方が良いと思う。ひなび系の旅館は選んじゃだめだ!
あと立地をきちんと調べる。コンビニがあるかどうかも重要。他にもリゾートバイトで派遣される人がいるかも調べる。同じ境遇の人がいる方がいい。
寮が汚かったら派遣会社に即クレーム!
 
・リゾバのサイトってめっちゃキラキラしていて観光ついでに働こう!みたいな軽いノリだけれど、そういうノリでやると挫折しそう。あくまで仕事だから、あんまり夢を見ない方がいい。観光地は住むところじゃない、観光するところ。プライベートの自分がなくなるってけっこうメンタル削られる。
お金を稼ぎたいんだって人は良いと思う。お金は貯まる。目的がしっかりしているなら乗り越えられる。
でもしなくてもいい苦労はするもんじゃないなとも思う。
 
リゾートバイトについてはこれにて完結。
どうもありがとうございました~~