29歳から30歳のあいだには


酒井順子の「29歳から30歳のあいだには」という本を読んだが、おもしろくてするする読んだ。

私は今29歳なので、どうにもタイトルに惹かれてしまい、初めて酒井順子の本を読んだが、実に様々なことを考えているなあと思った。
そして想像力が豊かだとなあと思った。このまま結婚せず、80代になったことを想定した描写はおもしろい。
結婚して子育てを終えた友達とまた久しぶりにフラットな関係でご飯を食べる描写、すごくよかった。


29歳は高校3年生に似ている。29歳は20代ではあるが、いささか居心地が悪い。
しかし30歳になれば30代のフレッシュマンになり得る。

29歳から30歳になる狭間に立っていて感じるこのプレッシャーはなんだろう。
たかが数字。されど数字。
人間は数字に支配されているのかもしれない。
頭では29歳から30歳になったところで、いきなり変わることはないことを知っている。
槍が降ってくることもないし、いきなり人生が終わることもない。
頭では分かってはいるが、10代と20代を振り返ったとき、なんでもっとうまくやれなかったかな、、、とぼうぜんとしてしまうのだ。

私が今立っている今の場所は10代、20代からの地続きだから、今までの自分があって今の自分がいる。
他人と比べなければ、私は自分を自分で今までよく生きてこれたな!御の字だ!と思える。
だけど、一旦周りを見比べるとだめだ。「周回遅れ」そんな言葉が頭をよぎる。

 

本書を読んで、女性が生きることの大変さをしみじみ感じた。

筆者は子ども時代の次に「ギャル期」が訪れると本書で書いていたが、果たして私に「ギャル期」はあっただろうか、と考え込んでしまった。

 

「ギャル」とは何だろう。
一般的に思い浮かぶのは、メイクが濃く、ネイルが派手で、恋愛模様が奔放、みたいな感じだろうか。

子ども時代はみんな等しく「かわいい」とされているから他者からの愛情を享受することができる。
しかし初潮が訪れると、自分は「女性」だと自覚し、異性からの「かわいい」を得るために異性ウケを考える。モテることしか考えていないと言っても過言ではない。「ギャル期」の始まりである。

そういう意味で言うと、ようやく来た私の「ギャル期」は今なのかもしれない。

10代、20代前半の頃は異性ウケを考えてこなかった。
部活の世界観一色だった。あれもこれも考えられるような器用さもキャパシティも持っていなかった。

高校生のとき、メイク道具を持ってきてメイクを教室で始める女子のことをよくやるなあくらい思っていた。
しかし大人になった今は、バレないスクールメイクというのをやってみたかったなあと思った。
最近ようやくメイクに興味を持って、LIPS(コスメの口コミを投稿するアプリ)などを見る。
そうすると高校生くらいの女子が上手にメイクをしている投稿を上げている。
かなわないなと思った。周回遅れの私を実感する。

しかし、10代のときにメイクをして異性ウケを考えて、自分のことを考える時間が長いのは、それはそれで思春期の渦に飲まれそうだなとも思う。

異性ウケもメイクもしなかった10代、それはそれで幸せな時代だったと思う。
自分のことを考えている時間が長いことは不幸せです。
そういいわけしている自分がいる。

29歳から30歳になるのに、今が一番怖い気がする。
30歳になってしまえば、「なーんだ」と思いそうな気がする。

 

歳をとることを怖がらずにいけたらいい、そんな風に思う。

 

最近本ちょくちょく読むようになって、客観的に考えられるようになった。

今まで視点が自分のみだったが、上から他人事のように自分の問題を俯瞰できるようになった。しんどい状況は変わらないけど、まあ世界は自分中心に周っているわけではないしな。

そんな感じ。

 

読んでくれてありがとうございます。